筑波大学は5月28日、東京大学と連携して相模湾とその周辺海域に生息する動物の合同調査結果を発表した。相模湾は世界的にもどのような動物が生息しているかが最もよく調べられている海域だが、今回実施した6回にわたる調査で新たに約50種の新種が見つかった。調査で分かった動物種の情報や写真は近くインターネットで公開する。
■写真など近くインターネットで公開
調査の中心になったのは、筑波大下田臨界実験センターと東大海洋基礎生物学研究推進センターが全国的な学際研究を加速する狙いで立ち上げた「マリンバイオ共同研究推進機構(JAMBIO)」。調査には全国15機関から109人の研究者らが参加した。
相模湾での調査は、これまで数百m以深の深海に偏りがちで、動物の大きさも10cm未満の種はあまり詳しく調べられていなかった。そのため今回は、これまで手薄だった比較的浅い沿岸域に生息する大きさ10cm未満の動物種を主な対象とし、海底の砂や泥を調査船上にすくい上げて採取する方法をとった。
その結果、まだどの種か判定が終わっていない動物もあるが、少なくとも250種以上の動物が見つかり、その中に約50種の新種が含まれていることを確認した。相模湾周辺や日本周辺の海域では過去に報告例のない種も見つかった。さらに、これまでは水深30~950mの海底からしか見つからなかった動物種が水深4mの海底にも生息している例があることも分かった。
これらの結果は、相模湾周辺海域の動物の多様性や系統分類学だけでなく、系統地理学や生態学、環境学などの観点からも重要な発見という。今後、これらの発見をデータベースとして整理し、JAMBIOのホームページ上で公開するほか、研究者向けに採取した動物の標本の貸し出しも検討している。