(国)農業・食品産業技術総合研究機構と日東電工(株)は5月26日、水田への導水路などに使われる小規模コンクリート水路の漏水補修テープを開発したと発表した。専門業者に依頼せずに”ガムテープ”を貼る感覚で、水路の目地やひび割れを簡単に補修できるのがミソ。数十年前に各地の水田などに敷設されたU字型のコンクリート水路が劣化時期を迎え、農業の担い手不足や収入減などで、安く簡便な補修法が必要とされていた。
■従来法より低コスト、簡便で短時間で施工
開発した漏水補修テープは、粘着剤とそれが塗られているフィルム状の基材ともゴム系の材料で作られ、変形しやすくわずかな力でも伸びるのが特徴。目地やひび割れ部分に貼るだけで簡単に補修でき、水路表面の凸凹や気温差による伸縮などにも柔軟に対応する。
さらに補修テープが劣化しても、その上に重ね貼りができるため長持ちする。またテープは1mあたり約1000円と、従来の半額以下程度。これまではひび割れ部分にモルタルや改質アスファルトなどを塗り、その上をアルミフィルムなどで覆っていたため専門業者の施工が必要だった。
農業用コンクリート水路は1980年代のバブル期以降から普及し、すでに30年近くが経ち劣化が目立っている。このため漏水被害が増え、農業被害にもつながっている。上部で漏水すると下の田んぼに水が届かずトラブルの原因にもなる。さらに夏場や稲の借り入れ前には田んぼの水抜きをするが、田んぼに水が流れ込むと作柄にも影響が出るだけに農家の悩みの種だった。
今回開発したテープは、日東電工から「水路補修ブチテープ」の商品名で秋以降に発売される予定。

左上は、通水直後の漏水状況、右は数日たった時点で漏水が遮断された状況。下の左右は、水圧でテープが水路の凹凸に従って貼りついて漏水を遮断した様子(提供:(国)農業・食品産業技術総合研究機構)