(独)森林総合研究所は2月17日、福島県下でのスギ雄花に含まれる放射性セシウム濃度の平成26年度調査結果を発表した。この調査は東京電力福島第一原子力発電所事故を受け、事故由来の放射性物質がスギ花粉を通じて再拡散する事態に備えて、同研究所が平成23年度から林野庁からの委託事業として毎年行っているもので、今回調査各地点の放射性セシウム濃度を23年度の調査時点での数値と比べると、全体的に当時の1割程度に下がっていることが分かった。
■放射性ストロンチウム濃度も1割程度に
今回調査は、前回の平成25年度と同じ24地点で実施した。1個で約40万個の花粉を含むというスギ雄花の採取は平成26年11月に行った。この時期になると、スギ雄花は成熟して休眠状態に入っており、花粉濃度は翌春の花粉飛散時とほば同じになっている。このスギ雄花が含む放射性セシウム134と同137をゲルマニウム半導体検出器による「ガンマ線スペクトロメトリー法」と呼ぶ手法で測定した。
調査24地点で得たこれまでの毎年度調査での放射性ストロンチウム濃度の値を1回目の平成23年度調査の値と比べると、全体的に見て、平成24年度は半分程度、平成25年度は2割程度だったのが、今回は1割程度まで下がった。また、今回調査での放射性セシウム濃度の最高値は1kg当たり2万5400ベクレルで、これまで最高値だった平成23年度の値の10分の1程度になっている。
さらに、今回調査で測定された最高濃度の放射性セシウムを含むスギ花粉が大気中に飛散して、これを吸入した場合に人が受ける放射線量を平成23年に行った時と同じ前提条件で試算したところ、1時間当たり最大0.0000215μシーベルト(マイクロは100万分の1)となり、平成23年度調査時の数値(0.000192μシーベルト)から大きくダウンした。