東北大学原子分子材料科学高等研究機構と(独)物質・材料研究機構は2月17日、ダイヤモンドと、ダイヤモンドに次いで硬い立方晶窒化ホウ素を接合した物質を作り、接合界面の原子構造などを解明したと発表した。接合界面では炭素(C)とホウ素(B)が結合し、転位という特有の欠陥構造が明らかになった。
■新機能材料の研究開発に期待
ダイヤモンドは炭素原子(C)が共有結合で結びついた、硬度が最も大きい物質。立方晶の結晶構造を持つ窒化ホウ素(BN)も、窒素(N)とホウ素(B)が同様に結合した2番目に硬い物質。両物質の原子間隔(格子定数)は1.4%ほど異なり、両者の接合は極めて困難とされ、接合した場合の接合界面の原子構造も不明だった。
研究チームは、物材機構の独自技術である「温度勾配法によるヘテロエピタキシャル成長」という製法を用いて、ダイヤモンドの上に高温高圧下で立方晶窒化ホウ素を成長させ、ダイヤモンドと立方晶窒化ホウ素の接合物質を作り出した。
得られた接合物質の界面を超高分解能走査透過型電子顕微鏡という装置で観察した結果、接合界面ではダイヤモンドの炭素(C)原子と、立方晶窒化ホウ素のホウ素(B)原子が結合している様子(C-B結合)が観察された。
これは物理理論に基づく第一原理計算手法で得られた、C-N結合よりC-B結合の方が結合エネルギーが低い構造である、という結論と一致する結果であった。
また、第一原理計算で得られた、六角形の転位が独立して存在する、という予測と同じ結果が電子顕微鏡観察で認められた。さらに、界面上には立方晶窒化ホウ素やダイヤモンド単一では持ちえない電気伝導性が発現しうるということが第一原理計算で示されたという。
今回のこうした成果は、共有結合性物質同士の接合による欠陥構造を活用した新規デバイスの設計や新機能材料の研究開発に役立つとしている。