東京大学と筑波大学、東北大学は1月15日、赤外線天文衛星「あかり」がとらえた観測データをもとに宇宙全天の遠赤外画像を作成、世界の研究者が利用できるようインターネットで公開したと発表した。遠赤外線による画像は星の誕生や遠方の銀河などの研究に欠かせないため、天文学のさまざまな分野で利用されると期待している。
■画像の解像度はこれまでの4~5倍
「あかり」は(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙科学研究所が東京大学など複数の大学と欧州宇宙機関(ESA)などの協力を得て開発、2006年に打ち上げた。これまでに宇宙の各方向からやって来る遠赤外線を4つの波長で観測してきたが、今回、東大の土井靖生助教らが国内外の研究者と協力、その観測データをもとに全天画像を作成した。完成したデータをJAXAの宇宙科学研究所からインターネットを通じて公開した。
遠赤外線の全天画像はこれまで1983年に英・米・オランダが共同で打ち上げた赤外線天文衛星「IRAS」のデータを利用したものしかなく、最新版でも1993年に公開された画像しかなかった。今回はこれを20年ぶりに更新したもので、画像の解像度が4~5倍に向上したほか、より波長の長い遠赤外線データもそろっているという。
星は宇宙を漂う星間物質が重力で集まることで作られるが、その過程で放出される遠赤外線をとらえることで星がどのようにできていくかという形成過程が解析できる。このとき画像の解像度が上がれば、星の形成過程で星間物質の量や分布がどのように変化していくかをより正確に調べられる。また、波長の長い遠赤外線を利用すれば、より低温の物質もとらえることができる。
このため研究グループは、今回の画像公開によって星や惑星の形成過程をより詳しく分析する研究に弾みがつくと期待している。

「あかり」の観測した全天の遠赤外線画像。青:90μm、赤:140μmの2色合成で示す。中央に水平に伸びるのが天の川。銀河系の中心領域を画像の中心にした360°の範囲を示す。Sの字状に薄く見えるのは、太陽系内の塵による光。「あかり」は全天の99%以上の領域を観測し、詳細な全天の遠赤外線地図を描き出した。観測されなかった残り1%未満の領域が画像中に黒いスジ状に見られる。色の青いほどより温かい星間物質、赤いほどより冷たい星間物質の存在を示す。星間物質が温かい領域ほど、そこでより多くの新しい星が生まれつつあることを示す(提供:筑波大学)



