
電気分極の磁場依存性。初期に磁場を加えた過程(破線)と2回目以降に磁場を加えた過程(実線)の差がメモリー効果を表す。図は27℃(300K)の温度で観測された電気分極の非可逆成分。不揮発性メモリー効果が室温で実現していることを表している(提供:(独)産業技術総合研究所)
東京大学物性研究所の徳永将史准教授を中心とする(独)産業技術総合研究所、福岡大学、上智大学、青山学院大学の研究グループは1月13日、未来の磁気メモリー開発が期待される新現象を発見したと発表した。ビスマスフェライトという物質に、磁場で制御が可能な新たな電気分極成分を見出したもので、この成分には室温で不揮発性メモリーの性質が認められたという。
■室温で不揮発性メモリーの性質もつ
ビスマスフェライトは、ビスマス、鉄、酸素から成る鉄系の酸化物。磁性体であると同時に強誘電体として大きな自発電気分極を持ち、これまで知られている物質の中では唯一、極低温に冷却しなくても、室温で磁性と強誘電性が共存するという特質がある。
研究グループは、産総研が最近作製に成功したビスマスフェライトの良質な単結晶を用い、東大物性研が持つ極限的な強磁場発生装置であるパルスマグネットを使ってビスマスフェライトの磁気的、電気的性質を精密に測定した。
その結果、これまで知られていた方向の電気分極のほかに、これと垂直な電気分極が存在し、この新たな電気分極成分が磁場によって制御可能であることを見出した。
この電気分極は磁場を加えると元と異なる状態に変化し、磁場を除いた後でも変化後の状態が保持されることもつかんだ。いわゆる特定の状態の保持にエネルギーを必要としない不揮発性メモリーの性質を備えているもので、この効果は室温でも観測されたという。
研究グループは今後、電場による状態の制御を調査、確認し、メモリーへの応用につなげたいとしている。



