
「クエルゴールド」のケルセチン含量(mg)(提供:(独)農業・食品産業技術総合研究機構)
(独)農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は11月5日、高い抗酸化能を持つケルセチンを多く含むタマネギの新品種「クエルゴールド」を開発したと発表した。寒地・寒冷地での春播き栽培に適しているという。
抗酸化能は、がんなどの原因物質になる活性酸素の発生を抑える能力のこと。ケルセチンは、植物に含まれるフラボノイドと呼ばれる色素の一種で、抗酸化能に優れ、血圧降下作用が報告されているが、新品種はそのケルセチンを、国内で栽培されているタマネギの中で最も多く含んでいる。
日本のタマネギは、本州以南の「秋播きタマネギ」と、主に北海道で作られている「春播きタマネギ」の2つのグループに分けられ、ケルセチン含量の多いのは「春播き」の方。
農研機構は、2010年から3年間かけてこの「クエルゴールド」の評価試験を行っており、ケルセチン含量が北海道産の一般的な春播きタマネギの1.6倍以上であることを確認している。
春播きタマネギのケルセチン含量は、秋播き品種の2倍以上と多いが、新品種「クエルゴールド」のケルセチン含量は、「一般的な秋播き品種の3倍以上」(農研機構)に達する。
現在、北海道の企業がこの「クエルゴールド」の商品化に取り組んでおり、2016年からの種子販売が予定されている。