
発見した「まだら模様」のパターン。「CIBER実験」で測定された近赤外線の画像から星や銀河を取り除いて「まだら模様」が目立つようにした画像(提供:JAXA、東北大学、NASA JPL/Caltech)
(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11月7日、国際共同研究による宇宙の遠方から地球に届く宇宙赤外線背景放射の観測の結果、これまでの予測を超える大きな「ゆらぎ(まだら模様)」が存在することを発見したと発表した。これは、宇宙には未知の赤外線光源が大量に存在することを示すものとして、研究グループは、新たな仮説を必要とするとしている。
■さらに高精度の観測へ
JAXAの宇宙科学研究所と東北大学の研究グループが、米国のカリフォルニア工科大学、韓国の天文宇宙科学研究院の研究者らの協力のもと、米航空宇宙局(NASA)のロケットに観測機器を搭載して打ち上げ、近傍から遠方宇宙までの天体の光が足し合わされた宇宙赤外線背景放射を観測する「CIBER実験」により見つけた。
観測は、口径11cm の望遠レンズに100万画素の赤外線検出器を組み合わせた高感度近赤外線カメラをNASAのロケットに搭載して打ち上げ、上空200~300kmの大気圏外を飛行して行われた。撮影した数カ所の天空の赤外線画像を解析したところ、宇宙赤外線背景放射に未知の大きな「まだら模様」が含まれていることが判明したもの。
発見した「まだら模様」の大きさは、予測値の2倍以上に達するとし、普通の星や銀河などによる影響だけでは説明がつかない大きなもので、宇宙には未知の赤外線光源が大量に存在することを示しているという。また、未知の赤外線光源の候補として、銀河の周辺部にある「ハロー」と呼ばれる領域に、普通の観測では見えない暗い星が大量にあるのではないかという仮説を提示している。
研究グループでは、CIBER実験に続く実験「CIBER-2」を計画しており、望遠鏡の口径を3倍にするなどしてCIBER実験より1桁も精度の高い測定を行うという。