消防防災ヘリの新管理システム4月から運用開始
―「D-NET」に対応、情報共有など進める
:宇宙航空研究開発機構/消防庁

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と総務省消防庁は4月9日、同機構が研究開発している「災害救援航空機情報共有ネットワーク(D-NET)」に対応した新しい「集中管理型消防防災ヘリコプター動態管理システム」の運用を、総務省消防庁が4月から開始したと発表した。また、JAXAとナビコムアビエーション(株)は4月7日、「D-NET」に対応の搭載性を向上させたヘリコプター動態管理システムを製品化したと発表した。

 

■災害情報をデータ化

 

 地震などの大規模災害が発生すると、全国から多数の航空機、ヘリコプターが被災地に集結し、情報収集、救急・救助、人員・物資輸送などの救援活動が行われる。しかし、こうした活動に対し、ヘリコプターの位置把握や、音声だけの情報交換、ヘリコプターからの映像伝達が困難だったりするなど、情報の伝達や共有、運用に課題があった。
 今回運用を開始した新しい管理システムは、そうした課題を踏まえて開発されたもので、派遣したヘリコプターの位置確認や過去の飛行経路表示、メッセージの送受信機能、災害情報をデータ化して地上に送る機能など、発生エリアの情報の共有や機体の機能・性能に応じた活動を割り当てるなど、効率的で安全な運用を行うことができる。
 総務省消防庁は、この新管理システムを搭載した消防防災ヘリコプターを26年3月末までに7機整えて運用に入った。
 JAXAとナビコムアビエーションが共同開発し製品化したシステムは、従来の機器の25%と大幅に軽量化し、個々の消防防災ヘリコプターから「移動中」、「任務開始」といった機体の活動状況がデータ化されて地上に送信され、端末に表示することが可能となった。この管理システムを使えば、航空無線による音声通信が難しい状況下でも情報の伝達が行えるほか、多数のヘリコプターの状況把握ができるようになる。
 ヘリコプターから送信できるデータは、音声通話と活動状況8種類だが、JAXAは、今後タブレットパソコンなどと連接させ、より高度な情報を飛行している消防防災ヘリコプターと地上間で共有できるようにする研究開発をナビコムアビエーションと進めていくとしている。

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図

「D-NET」のシステム概念図。JAXAは、総務省消防庁や神戸市とこのシステムの評価・改良を進めている(提供:JAXA)