放射性セシウムを除去できる新種の藻類を発見
―2日以内に90%以上を吸収・除去が可能
:筑波大学

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発見された「nak9」の顕微鏡写真(提供・筑波大学)

 筑波大学は4月8日、溶液中の放射性セシウムを高度に除去できる新種の微細藻類を発見したと発表した。放射性セシウムを入れた培地で培養したところ、2日以内に90%以上の放射性セシウムを吸収・除去することができた。福島第一原発事故で拡散した放射性物質を低コストで回収・除去する技術の開発につながると期待される。

 

■188株の微細藻類から見つける

 

 筑波大生命環境系の白岩善博教授と井上勲教授らの研究グループが、植物と同じように光合成をする微細藻類などを対象に被災地の除染に利用できるものがないかを調べた。
 探索にあたっては、特に人体に吸収されやすい放射性物質であるセシウム137とストロンチウム90、ヨウ素125に注目。研究グループや国立環境研究所微生物保存施設などが保有する188株の微細藻類を、これらの放射性物質が添加された培地で培養し、放射性物質の吸収能力を調べた。
 その結果、セシウム、ストロンチウム、ヨウ素を吸収する高い能力を持つ株が、188株の中からそれぞれ5株、3株および8株見つかった。特に、このうちセシウムの吸収能力が高い新種の微細藻類が見つかり、これを「nak9」と名付けた。
 白岩教授らは「この微細藻類を用いた低コスト、省エネルギー、低環境負荷の除染技術を開発し、汚染地域の早期の復旧・復興に貢献できれば」といっている。

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