気象庁気象研究所は10月7日、今年9月2日に埼玉県越谷市や千葉県野田市などに被害をもたらした竜巻の発生メカニズムについて解析結果を発表した。
■積乱雲発達、高さ14km以上にも
竜巻発生の約20分前から積乱雲が急速に発達し、竜巻発生時には高さ14km以上、大きさ(広さ)は30km以上になり、メソサイクロン(回転している空気の流れ)、フックエコー(メソサイクロンに伴う強い上昇気流)、丸天井構造(強い上昇気流のため降水粒子が落下できない領域の状態)といったスーパーセル(巨大積乱雲)に特有の現象が現れていた。
こうした構造を持った積乱雲の中で強風(ガスト)を伴う前線、ガストフロントが生じ、これが積乱雲発生以前から存在していた局地的な前線と衝突した。この衝突によってガストフロント上の渦が強まり、その渦が上空のメソサイクロンに伴う強い上昇気流によって引き伸ばされ、竜巻が発生したと考えられるという。
積乱雲の急発達は、南寄りの風によって海上から局所的に流入していた大気下層の大量の水蒸気によってもたらされた。局所的な水蒸気の流入による積乱雲の発達は昨年5月のつくば市での竜巻のケースでも見られたという。