マイナス196℃でもシール性に優れたガスケット
―世界最高レベル、高温や地熱水による腐食にも強く
:産業技術総合研究所/ジャパンマテックス/住友精化

 開発したガスケット(提供:産業技術総合研究所)

 (独)産業技術総合研究所、ジャパンマテックス(株)、住友精化(株)は7月16日、極低温から高温までの幅広い温度範囲で高いシール性があり、シール部での電蝕(金属腐食)が起きにくいガスケット(パイプ間の接合部などに挟み込むシール材)を開発したと発表した。マイナス196℃でのシール性は、従来最高のステンレス膨張黒鉛多積層構造ガスケットを上回り、世界最高レベルという。地熱発電所や車両をはじめ、石油化学、製鉄、製紙プラントなど幅広い温度条件下の配管への適用が期待できるという。

 

■6カ月以内にも製品化を計画

 

 ガスケットには近年アスベスト製品に代わって膨張黒鉛製品や、バーミキュライト(ひる石)に有機物を加えた成形品が用いられているが、焼付く、シール性が低い、幅広い温度条件下での使用に適さないなどの問題点があった。
 開発した新ガスケットは、平板形状の結晶からなる粘土と、ポリイミド(高耐熱性の高分子)を混合したコンポジット膜、それと膨張黒鉛シートとを交互に積層させて作製した。性能試験の結果、-196℃~350℃までの温度範囲で高いシール性能が確認されたという。 
 新ガスケットは絶縁性に優れた疎水性の粘土を用いているため、電蝕によるフランジ(ガスケットを挟み込んで締め付ける管末端のつば)部の腐食が起きにくく、硫黄を含む模擬地熱水を用いた実験でも腐食は観察されなかったという。
 今後、性能評価試験や長期耐久性試験をさらに進めるとともに量産技術を確立し、6カ月以内にもジャパンマテックスが製品化する計画という。

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