(独)国立環境研究所と環境省は4月12日、日本の2011年度の温室効果ガス総排出量は13億800万tだったと発表した。昨年12月に発表した速報値を100万t上回る確定値で、前年度に比べると4%増となった。2011年3月11日に起きた東日本大震災に伴う原発事故によって火力発電が増加したことなどが影響したとみられる。
■エネルギーにかかわる排出量が増加
温室効果ガスには二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、パーフルオロカーボン類など全部で6種類あるが、このうち地球温暖化に最も大きな影響を与えるCO2の総排出量は12億4,100万tで前年度に比べると4.2%増だった。温室効果ガス全体に占めるCO2の割合は炭素換算で94.9%に上るため、CO2排出量の増加が温室効果ガス全体の排出量に反映した形だ。
CO2排出量の内訳をみると、セメントの製造時や廃棄物焼却などに伴って発生する非エネルギー起源の排出量が前年度比0.02%増と横ばいだったのに対し、石油や石炭など化石燃料の燃焼に伴って排出されるエネルギー起源のCO2排出量は同4.4%増となった。
東日本大震災の影響で製造業の生産量が落ち込んだ一方、原発事故で火力発電が増加して化石燃料の消費量が増えたことが影響したとみられる。エネルギー起源のCO2排出量はCO2全体の約9割を占めている。
温室効果ガスは国連の気候変動枠組条約に基づく京都議定書によって削減が義務づけられており、CO2とCH4、N2Oについては1990年を基準年として日本は2012年までに6%削減を約束している。今回の確定値は、基準年比3.7%(4,640万t )増となった。一方、森林による吸収などの効果である吸収源活動の吸収量は、約5,210万tで、これは基準年総排出量の約4.1%に相当する。これに、海外からの排出枠購入など京都メカニズムクレジットを加味すると、基準年比で4.0%減となった。