国土交通省国土地理院は3月27日、地図に地域の人口や店舗情報、土地活用状況などさまざまな情報を重ねて表示し高度利用する「地理空間情報高度活用社会」の実現に向けた新しい基本計画を発表した。2012年度から始まる5年計画で、衛星による測位システムや社会ニーズに応じた地理空間情報を整備することなどを盛り込んだ。今回は、特に昨年の東日本大震災からの復興や災害に強い国土作りに役立つ施策の推進を柱の一つに掲げており、今後想定される巨大地震などの自然災害に備える。
今回の基本計画は、「地理空間情報活用推進基本法」に基づいて2008年に策定された第一期計画に続く第二期計画で、3月27日に閣議決定された。地理空間情報の利用は、カーナビなどでもおなじみだが、その活用は多方面に拡大しており、新しいビジネスを生み出すなど経済活性化の新しい社会インフラになっている。今後は、さらに情報通信技術の急速な進展に伴って、より活用範囲が広がるとして、一層の環境整備を進めることにした。
新基本計画では、地理空間情報高度活用の基盤になる地理情報システム(GIS)の持続的な更新を進める共に、独自の実用衛星測位システムを整備する。GISでは、これまで整備が困難だった一部の離島を含む全国土を対象に整備を図り、日本の領海や大陸棚の利用、環境保全などに役立てる。また、衛星測位システムは、ビルの陰で電波が届かないことがないよう、日本上空を「8」の字軌道を描いて飛ぶ準天頂衛星を、2010年代後半を目途に4機打ち上げる。将来的には7機体制を目指す考えだ。
これらの施策によって、誰もがいつでもどこでも必要な地理空間情報を使ったり、高度な分析に基づく的確な情報を入手したりできる環境を整備し、社会の発展につなげる。
No.2012-13
2012年3月26日~2012年4月1日