(独)防災科学技術研究所は3月29日、太平洋の日本海溝と千島海溝南部に沿う水深8,000mまでの海底に「日本海溝海底地震津波観測網」を新設する事業を開始すると発表した。 昨年3月11日の東北地方太平洋沖地震は、同地方の各地に大きな被害をもたらしたが、今後も強い揺れや高い津波に見舞われる恐れのある東北地方太平洋沖の海底に計154の観測点を設置するとしている。 各観測点には、光ケーブルと一体となった地震計と津波計を設置し、常時24時間リアルタイムで地震データと水圧変動データを取得、陸から離れた海溝型の地震・津波を直接検知してこれまでより精度の高い情報を伝達する計画。 昨年6月に公布・施行された津波対策の推進に関する法律は、津波による被害発生の防止・軽減のため観測体制の強化を打ち出している。しかし、日本海溝周辺の海底観測システムは、現在のところ小規模なケーブル式の観測システムが限られた海域で稼働しているだけに留まっている。 新設する計154の観測点の観測装置は、地震計、水圧計からなるセンサー部と伝送部、光増幅部、電源部で構成され、それらを水深8,000mまで設置できる水密構造の耐圧容器に収納して設置する。 154の観測点は、千葉県の房総半島沖から北海道東方沖までの日本海溝・千島海溝に沿った5つの海域に格子状に配置するほか、日本列島から100~200km離れた海溝の外側にも設置する。 平成23年度から敷設ルートの選定、観測点設置予定地点の構造探査などに着手し、平成24年度に先ず「房総沖(千葉県沖)」と「三陸沖北部(青森県沖・北海道日高沖)」の2海域に観測システムを設置する計画という。 同研究所は、「この大規模な海底観測網の運用により、海洋プレートの沈み込み境界付近の地震像やプレート構造の解明、地殻活動の詳細な調査研究など、国際的にリードする研究の推進が期待される」としている。
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5つの海域と海溝軸外側とに分けて海底地震津波観測網を整備する(提供:防災科学技術研究所) |
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