(独)宇宙航空研究開発機構は1月25日、日本が今後も宇宙開発の自律性を確保していくためには主力大型ロケット「H-ⅡA」の継続的な改良が必要であるとして、宇宙開発委員会にその取り組み状祝を報告した。
H-ⅡAの運用は、すでに民間に移管されているが、大型化が進む静止衛星の打ち上げなど世界の宇宙ビジネスで市場競争力を確保していくためロケット本体の性能向上や老朽化が進む地上局などの維持・更新を喫緊の課題として挙げている。
H-ⅡAは、2001年に初めて試験飛行し、昨年12月には20号機が情報収集衛星の打ち上げに成功した。大型衝星を静止軌道に打ちとげる能力を持ち、日本の宇宙ビジネスを支えている。
今回の報告では、日本が必要な時に独自に衛星を打ち上げるために国際競争力を持った宇宙輸送システムの維持が不可欠だと指摘。その上で、今後取り組むべき課題として、[1]打ち上げ事業基盤の強化、[2]衛星需要へのマッチング、の二点を挙げた。
これらの課題解決に向けて同機構は、特に世界的に大型化が進む静止衛星の打ち上げ能力を現在の2倍近くにまで向上させる取り組みのほか、衛星分離時に従来の爆薬の代わりにパネを使用して衝撃を低減する技術の開発に取り組むなど、ロケットの機能・性能向上を進めている。また、地上追尾レーダーを不要にする技術の開発などを進め、老朽化が進む地上局の維持・更新に伴うコストの低減にも取り組んでいる。
同機構は、そうした取り組みによって、将来の宇宙開発ミッションに効率的に対応できるようにすると共に、宇宙輸送コストを全体的に下げ、国際競争力を獲得したい、としている。
No.2012-4
2012年1月23日~2012年1月29日