(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1月24日、小惑星探査機「はやぶさ」が地球に持ち帰った小惑星「イトカワ」のサンプル(微粒子)についての新しい分析研究の国際公募を同日から開始したと発表した。応募の締め切りは、日本時間の3月7日で、5月中旬に審査結果を発表、7月までにサンプルを無料配布する。
「はやぶさ」が「イトカワ」表面から持ち帰った微粒子は、100μrn(マイクロメートル、1μmは100万分の1m)以下の大きさだが、現在の分析技術を駆使すれば新たな科学成果を生む可能性が十分にあると期待されている。今回のサンプルは、地球で得た隕石とは違い、地球大気にさらされておらず、地球大気圏再突入の際の加熱も受けていないので、「イトカワ」表面の宇宙環境に関する情報を秘めている。
既に、同機構は、今回の国際公募とは別に、米航空宇宙局(NASA)にサンプルの一部を提供、東大や九大などの国内13大学・研究機関に配布し、初期分析を行っており、成果の一部は発表されている。今回の国際公募は、それらに続くもので、広く海外の研究者から提案を募り、「はやぶさ」の科学的成果の最大化を図り、世界の惑星科学発展に貢献しようというのが目的。
国際公募の対象となる「イトカワ」の微粒子の数は、100~150粒ほど。世界の研究者から寄せられた提案は、国内外の有識者20人ほどで構成する委員会で審査・選定する。こうした「イトカワ」からのサンフルの分析研究の国際公募は、更に今後数回行われる予定で、第2回以降の詳細は今回の国際公募の状況を見て決定される。
「はやぶさ」は、2003年5月に打ち上げられ、2005年9月に「イトカワ」周辺に到着。同年11月に3回の接近と2回の表面着陸を行った後に「イトカワ」を離れて地球帰還を目指し、2010年6月に地球大気圏に再突入。その寸前に切り離されたサンプルを積んだカプセルは、オーストラリアのウーメラ砂漠で無事に回収された。
No.2012-4
2012年1月23日~2012年1月29日