有機溶媒除去できる超高性能ろ過フィルターを開発
:物質・材料研究機構/科学技術振興機構

 (独)物質・材料研究機構と(独)科学技術振興機構は1月26目、オイルや有機溶媒を除去できる超高性能ろ過フィルターを開発したと発表した。直径約1nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)の細孔が無数にあいた極薄の多孔性カーボン膜を作製することニに成功し、実現した。市販のフィルターより約3桁早い速度で有機溶媒を除去できるという。
 日本のメーカーが製造している水処理膜は、海水淡水化や廃水処理に幅広く使われ、世界シェアも大きい。しかし、その多くを占めるポリマー(高分子)製の膜は、高温に加熱すると軟化し、有機溶媒によっては溶けてしまう。
 一方、耐有機溶媒性のセラミックス膜では、細孔径が1nm程度のものも製造されているが、透過する流速が非常に遅いという問題を抱えている。
 新技術は、ダイヤモンド状カーボンの製造法「プラズマCVD法」を応用してアルミナ基板の上に直径約1nmの貫通孔が多数聞いた厚さ35nmの高強度カーボン膜を作り、有機溶媒の高速透過を実現した。
 プラズマCVD法によるカーボン膜の製造は、既に広く産業界に普及していることから、大面積化も容易という。
 物材機構は、この新ろ過フィルターについて「有機溶媒を高速透過させる画期的なものであり、塗料、機能性ポリマー、医薬品などの分離、触媒などが混入した有機溶媒のリサイクルなどに応用できる」とコメント、実用性を強調している。

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アルミナ膜の上に形成した多孔性カーボン膜の断面の走査電子顕微鏡写真(提供:物質・材料研究機構)