(独)農業・食品産業技術総合研究機構は1月24日、東京電力福島第一原子力発電所の事故で計画的避難区域に指定された福島県飯舘村の畑で栽培・収積されたヒマワリの種子の搾油や精製の工程における生成物ごとの放射性セシウムの測定結果を発表した。
調査・試験を行ったのは、農研機構の中央農業総合研究センターで、収穫されたひまわりの種子に移行した放射性セシウムは搾油や精製してもそのほとんどがヒマワリ種子の搾油滓に残留し、油やバイオディーゼル燃料への移行は確認されなかった。
発表によると、飯舘村の畑の栽培開始時点の土壌中の放射性セシウムは、土壌1kg当たり7700ベクレル(7700Bq/kg)であったが、収穫されたヒマワリ種子の放射性セシウム濃度は81.4Bq/kgだった。
種子の搾油試験では、収穫した8.9kgのヒマワリの種子から1.3kgの圧搾油と7.6kgの搾油滓が得られた。放射性セシウムの濃度は、圧搾油の2.58Bq/kgに対し、搾油滓では118Bq/kgを記録、搾油滓にほとんどの放射性セシウムが残留していることが分かった。
さらに、ろ過処理した圧搾油1.2kgから放射性セシウムは検出されず、検出限界(1.1Bq/kg)以下だった。このことから「ろ過処理の工程で夾雑物と共に放射性セシウムが除去され、ろ過処理した油の放射性セシウム濃度が低減したと考えられる」としている。
ろ過処理した油を原料にしてのバイオディーゼル燃料の製造試験は、中央農業総合研究センターが開発した「STING法」という動植物油脂をメタノールと混合し、高温・高圧で処理して重油・軽油代替燃料に変換する技術を使って行ったが、グリセリンなどの副産物を生成せずにバイオディーゼル燃料(0.95kg)を製造することができた。
No.2012-4
2012年1月23日~2012年1月29日