(独)防災科学技術研究所は6月21日、昨年8月に発生した駿河湾の地震が想定される東海地震の震源域に及ぼした影響を調査した評価結果を発表した。東海地震時にプレートが滑ると考えられている方向の力が増加し、力の増加したプレート境界領域で駿河湾地震発生後、微小な地震がしばらく頻発していたことが分かった。
駿河湾地震は、昨年8月11日早朝に東海地震の想定域内で発生し、マグニチュードは6.4だった。
駿河湾から四国沖にかけての太平洋側では、海側のフィリピン海プレートが陸側のユーラシアプレートの下にもぐり込んでいて、固着しているプレート境界部分でプレートが急激に滑ることにより大地震が発生すると考えられている。駿河湾地震は、プレート境界面ではなくフィリピン海プレート内部の断層が滑ったもので、東海地震の前震とは考えられていない。
同研究所は、「K-NET/KiK-net(強震観測網)」、「Hi-net(高感度地震観測網)」、「F-net(広帯域地震観測網)」という3種類の地震観測網を運用している。
今回の評価結果は、その3種の地震観測網の観測記録の分析から得たもので、[1]Hi-netデータから駿河湾地震は、面の向きが大きく異なる複数の震源断層で発生している、[2]地震後数カ月間の地震活動が地震前の数倍から10倍程度活発になることが予測されていたが、駿河湾地震後1カ月間のH-netのデータを調べたところ、プレート境界面が滑ったと考えられる地震の数が予測された程度増加しており、予測が正しかったことが分かった、としている。
No.2010-24
2010年6月21日~2010年6月27日