帆を広げ宇宙を行く「イカロス」の撮影に成功
:宇宙航空研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、6月16日、“宇宙ヨット”を目指して打ち上げた小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS(イカロス)」が帆を広げて宇宙を航行している姿の撮影に成功したと発表、その写真を公開した。
 「イカロス」は、今年の5月21日、同機構種子島宇宙センター(鹿児島・種子島)から「H-IIA」ロケット17号機で打ち上げられ、現在、一辺が14m、対角線が20mにもなる正方形のソーラーセイル(太陽帆)を広げて宇宙を航行している。
 公開した写真は、「イカロス」に搭載した小型カメラを宇宙空間で放出、そのカメラで「イカロス」を撮影し、画像を無線で同機構に送ってきたもの。
 「イカロス」のソーラーセイルは、アルミニウムを蒸着した厚さが僅か0.0075mmという超極薄のポリイミド樹脂膜でできていて、降り注ぐ太陽の光の圧力を風の代わりに利用して宇宙空間を帆だけで航行することを目指している。
 ソーラーセイルのアイデアは、100年程前からあり、太陽光を十分に受けることができれば燃料を消費することなく宇宙空間を航行できると見られている。「イカロス」は、それを世界で初めて実証することを狙っている。
 同機構は、6月3日からソーラーセイルの展開を開始し、同10日に終了。同15日、地球から月までの距離の約24倍離れた宇宙空間でカメラを放出、正方形に開いているソーラーセイルの撮影に成功した。
 地球からこれだけ遠く離れた宇宙空間で大きな帆を展開したのは世界でも初めて。
 同機構は、この後“本番”のソーラーセイルによる加速と軌道制御の実証を半年間にわたって実施することにしている。

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宇宙から送られてきた正方形のソーラーセイルを展開した状態の「イカロス」の写真(提供:宇宙航空研究開発機構)