(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6月14日、小惑星「イトカワ」に着陸した探査機「はやぶさ」が地球に帰還、その試料カプセルがオーストラリア南部のウーメラ砂漠にパラシュートで降下し、14日午後4時過ぎ(以下、時間は全て日本時間)同試料カプセルを回収したと発表した。 月以外の天体に着陸した探査機が地球で回収されたのは世界初。「イトカワ」表面の試料が入っているのではと期待されている試料カプセルは、同機構の宇宙科学研究所(神奈川・相模原市)に運び、解析が加えられる。 「イトカワ」は、直径200~300m、長さ540mほどの小惑星で、1998年に米国が発見、その名称は日本のロケット開発の父・糸川英夫博士(故人)にちなんで付けられた。 これらの小惑星は、その誕生以来、乱されていないことから、そのサンプルを地球に持ち帰れば「小惑星は何からできているのか」とか、「地球誕生の頃の宇宙の様子」などを知る手掛かりが得られるのではないかと期待されている。 そうした小惑星試料の地球持ち帰り探査に必須の工学的技術実証などのため、JAXAが2003年5月9日に打ち上げたのが「はやぶさ」。同機は、直径40cmほどの試料カプセルと、資料収集装置、近赤外線分光計、カメラなどを搭載していた。 「はやぶさ」は、2005年9月に「イトカワ」と会合、同年10月にかけて「イトカワ」表面の撮影や科学観測を実施、同年11月20日と26日には表面に着陸してサンプル採取を試みた。任務を終えた「はやぶさ」は、同年11月、「イトカワ」を離れた直後に姿勢制御用エンジンの燃料漏れなどの深刻なトラブルに遭遇、一時は同機との通信も途絶えた。幸い2006年1月に通信が復活、2007年4月に地球帰還への巡航を開始した。 その後も「はやぶさ」は、イオンエンジンの異常に見舞われたが、機能が正常なユニット同士を組み合わせるなどして危機を克服、カプセル着陸予定地点へ向けた最後の軌道修正も6月9日に終了。6月13日午後7時51分、カプセルを本体から分離した。本体は、同10時51分頃、大気圏に突入して燃え尽きたが、カプセルはパラシュートを開いて予定地点近くに着地、翌14日午後4時8分、回収された。 詳しくはこちら |  |
ヘリコプターから写した着地後の試料カプセルとパラシュート(提供:宇宙航空研究開発機構) |
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