“宇宙ヨット”「イカロス」、太陽帆の展開に成功
:宇宙航空研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6月11日、セイル(帆)を張って宇宙を行く“宇宙ヨット”を目指し打ち上げた小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS(イカロス)」のセイル展開に成功したと発表した。
 セイルは、ソーラーセイル(太陽帆)と呼ばれ、その表面に貼り付けたアモルファス・シリコン製薄膜太陽電池の太陽光発電にも成功、最大のテーマであるソーラーセイルによる加速実験の準備がこれで整ったことになる。
 「イカロス」は、超薄膜製の四角いソーラーセイルで太陽光を受け、その太陽光の圧力を推力にして、燃料なしで宇宙空間をヨットのように進むことを目指し、今年5月21日に「H-IIA」ロケット17号機で同機構の種子島宇宙センター(鹿児島・種子島)から金星探査機「あかつき」と相乗りで打ち上げられた。
 ソーラーセイルのアイデアは、100年も前からあったが、帆の材料開発や宇宙空間で広げる展開が難しく、実際に打ち上げられたのは世界でも「イカロス」が初めて。
 同機構は、宇宙を飛行する「イカロス」のソーラーセイル展開を6月3日から開始し、同10日に地球からの距離約770万kmで展開を終え、対角線の長さが20mもある四角形のソーラーセイルが全開したことを搭載するモニターカメラからの画像で確認した。
 同機構は、引き続きソーラーセイルの薄膜太陽電池による発電の状態を計測し、その後“本番”のソーラーセイルを使った加速と軌道制御の実証を半年間にわたって実施する。

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ソーラーセイルを展開した「イカロス」の想像図(提供:宇宙航空研究開発機構)