(独)農業・食品産業技術総合研究機構果樹研究所は4月22日、昨年国内で初めて発生が確認された植物ウイルス「プラムポックスウイルス(PPV)」を誰でも簡単にチェックできる診断キットを開発したと発表した。 既に企業が「プラムポックスウイルス イムノクロマト」の名称で診断キットの販売を始めている。 同研究所は、引き続きPPVの根絶を目指し、他の研究者の協力を得てウイルスの性質の解明、超高感度検出法の開発、PPVを媒介するアブラムシの防除法の開発、などを急ぎ、蔓延を防ぎたいとしている。 PPVは、1915年に東欧のブルガリアで発見されたモモやスモモなどの植物に感染するウイルス。人間には感染しないので、PPVに感染した植物をかりに食べても影響はない。 1980年代に欧州全域に発生が拡大し、その後世界各地に拡がり、日本でも2009年3月に青梅市(おうめし、東京)のウメから検出され、その後の調査で八王子市(同)などでも発生が確認され、拡大が心配されている。 今回の診断キットは、農林水産省からの委託を受け、国内で初めてPPVを発見した東京大学や、法政大学、東京都農林総合研究センター、同機構中央農業総合研究センターと共同で開発したもので、このキットに現れる変化(写真)を目で見るだけでPPVに感染しているかどうかが分かる。 この研究成果は、このほど開かれた「平成22年度日本植物病理学会大会」と「第10回植物ウイルス病研究会」で発表した。 詳しくはこちら |  |
開発した診断キットによるPPVの検出結果。感染していると写真のように下側にバンド(矢印の位置)が出現する。上側のバンドは、検出が正常に行われたことを示す(提供:果樹研究所) |
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