国土交通省の国土地理院は3月5日、大分県と愛媛県の間の豊後水道周辺で昨年後半から観測されている通常とは異なる地殻変動(非定常地殻変動)の原因について「プレート(地球表面を覆っている巨大岩盤)境界で発生している『ゆっくり滑り(スロースリップ)現象』であることが推定される」と発表した。
四国南部周辺の地下では、海側プレートが陸側プレートの下に沈み込み続けている。そうしたプレートの境界部で生じるゆっくりとした滑りがゆっくり滑り現象。この現象が起きると境界部に溜まったエネルギーがゆっくりと徐々に解放されるため大地震のリスクが小さくなると考えられている。
豊後水道周辺では、1997年から1998年にかけてと、2003年から2004年にかけてそれぞれゆっくり滑り現象が発生している。
豊後水道周辺の非定常地殻変動は、全地球測位システム(GPS)を利用した電子基準点観測から得たもので、今回のゆっくり滑りは継続中と見られ、現時点での変動はまだ小さく、大きいところでも約1cm程度。この非定常地殻変動からプレートの滑りの大きさを計算した結果、足摺岬(高知県)から豊後水道周辺にかけて最大約4cmの滑りが推定されたという。ちなみに、同地域で生じた過去2回のゆっくり滑りの最大滑り量は、20cm程度と推定されている。
No.2010-9
2010年3月1日~2010年3月7日