「CIGS太陽電池」用低コスト金属基板を開発、変換効率16.7%を達成:産業技術総合研究所/東洋鋼鈑

 (独)産業技術総合研究所は3月4日、東洋鋼鈑(株)と共同で、次世代太陽電池として注目されている「CIGS太陽電池」用の低コスト金属基板を開発、変換効率16.7%の高効率太陽電池を試作したと発表した。
 CIGS太陽電池は、銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)の4元素からなる化合物でできた薄膜太陽電池。省資源の薄膜系太陽電池の中で現在のところ最も変換効率が高く、ポスト結晶シリコン太陽電池として期待され、従来からのガラス基板に代わる金属基板を使ってフレキシブル太陽電池にする研究が進められている。
 しかし、これまでにその金属基板として開発されたチタン箔やモリブデン箔は、大面積化やコストに問題があり、より安価なステンレス箔の検討が行われているが、金属成分がCIGS層に拡散して発電の高効率化を阻害するという問題を抱えている。
 今回の成果は、ステンレス箔よりさらに低コスト化が可能な低炭素鋼ベースの極薄金属基板を開発し実現したもので、CIGS太陽電池の効率を阻害する元素の拡散を表面処理膜によって防ぐようにした。
 この種の表面処理膜を形成するには、これまで高コストな真空プロセスが必要だったが、東洋鋼鈑は大気中での成膜を実現し、低コスト化を可能にした。
 同研究所は、この低コスト金属基板を使った小面積の太陽電池を試作し、16.7%という高い変換効率を記録した。この効率は、低コスト基板を使っての値としては極めて高い。
 東洋鋼鈑は、厚さ0.1mm、幅500~1,000mmの表面処理金属基板の製造が可能だとし、この金属基板を2011年頃に製品化するとしている。

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