(独)森林総合研究所は10月17日、国レベルの森林被覆率を衛星データから確実に推定するには20%以上のサンプリング率が必要なことが明らかになったと発表した。全体の面積に対して抜き出すエリアの割合が20%を超えれば信頼性の高い被覆率が得られることになり、森林被覆が十分把握されていない途上国などのサンプリング方式による被覆率推定の際の指標として役立つとしている。
地球温暖化問題の中で、二酸化炭素(CO2)を吸収する森林の状況やその変化の様子を定量的に捉えることが重要になっている。森林が土地を覆っている割合、いわゆる森林被覆率の把握には、リモートセンシングで全域をカバーし森林被覆図を作成する方法と、系統的に一定のエリアを抜き出して全体を推定するサンプリングによる方法がある。後者は、費用や労力を抑えられるという利点があるが、半面、推定値がサンプリング率によって影響を受けるという難点がある。
そこで森林総研は、国レベルでの観測に適した地上分解能30mのランドサット衛星(米国)の画像を利用し、日本全域を対象にサンプリング率の違いが推定値にどのように影響するのかを調査した。
その結果、サンプリング率が10%以下だと正確に推定することはできず、確実に推定するには20%以上のサンプリング率が必要なことが判明したという。
この成果は、国連食糧農業機関(FAO)が「森林資源評価2010」で実施している衛星画像によるリモートセンシング資源調査の分類パラメータの設定に既に活用されているという。
No.2011-42
2011年10月17日~2011年10月23日