根こぶ病と黄化病に抵抗性持つハクサイの新品種を育成
:野菜茶業研究所/日本農林社

 (独)農業・食品産業技術総合研究機構の野菜茶業研究所は10月5日、ハクサイの産地で大きな問題となっている土壌伝染性の微生物による土壌病害である根こぶ病と黄化病に対し抵抗性があり、品質に優れたハクサイの新品種「あきめき」を(株)日本農林社と共同で育成したと発表した。
 根こぶ病は、発病すると根が異常に肥大し養分・水分の吸収が妨げられるため生育が著しく遅延し、枯死してしまうこともある。根こぶ病では、病気を引き起こす菌の病原性が分化し、これまで抵抗性があるとされていた品種までも発病することが問題となっている。
 また、黄化病は、ハクサイの幼苗期には発病せず、成長した古い葉から次第に黄色く変色する。ひどい場合には、結球が不十分になり、収穫できなくなる。黄化病では、低コストで行える栽培管理上の防除対策はまだ開発されていない。
 今回の研究では、黄化病に抵抗性のあるF1(雑種第一代)品種「秋理想」と、根こぶ病に強い抵抗性をもつ「はくさい中間母本農9号」を用いて、戻し交雑をするという方法を利用し、2つの病害に抵抗性を持つ新しい品種の育成に取り組んだ。特にDNA(デオキシリボ核酸)マーカーを活用することにより、これまで難しかった抵抗性遺伝子の集積を効率よく行った。
 ゲノムDNAの塩基配列は、品種や系統、個体間で違いがある。DNAマーカーの活用とは、特定のゲノムDNAの塩基配列を目印として利用し、他の部分の塩基配列と簡単に識別する方法をいう。 
 新品種「あきめき」は、「はくさい中間母本農9号」の持つ2つの根こぶ病抵抗性遺伝子Crr1とCrr2、それに「秋理想」に由来する別の根こぶ病抵抗性遺伝子の計3種類の抵抗性遺伝子を持ち、根こぶ病菌系のすべてに抵抗性を示す。
 また、黄化病の汚染圃場で栽培した場合にも発病しにくい品種でもある。「あきめき」は、は種後約75日で収穫が可能で、出荷時の球長は約30cm、重さは約3kg程度で、根こぶ病抵抗性以外の特性は「秋理想」に類似する。
 新品種「きらめき」の名前は、ハクサイが最も美味しい秋から冬に向けての季節感を表現する「秋」と、“きざし”や“始まり”を意味する「めく」を合わせたもので、これからおいしいハクサイが出始めるという「期待感」を表し、ハクサイとしての品質の良さをアピールしている。

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