チタンに匹敵する熱伝導率を持つゴム系新複合材料を開発
:産業技術総合研究所/単層CNT融合新材料研究開発機構

 (独)産業技術総合研究所と単層CNT融合新材料研究開発機構は10月6日、高純度の単層カーボンナノチューブ(単層CNT)と炭素繊維をゴムに分散させることで金属チタンに匹敵する熱伝導率を持つ新複合材料を開発したと発表した。混ぜる単層CNTと炭素繊維の量が少ないので、ゴムのフレキシブル性が失われず、軽く、薄く、柔いことから電子デバイスなどへの利用が期待される。
 電子デバイスの高集積化、高速化に伴う発熱量増加に対する放熱対策として、柔らかくて熱を良く通す材料(高熱伝導性材料)の開発が求められている。
 産総研は、単層CNTの合成法を確立、その用途開発を進めてきたが、今回は熱伝導性に優れたゴム複合材料の開発に挑戦、分散させる炭素繊維や単層CNTの組成を様々に変えて、厚さ0.1~2mmのフィルム状試料を作製、熱伝導率を測定した。
 その結果、たとえば重量比で4%の単層CNTと同18%の炭素繊維を含ませたフッ素ゴム複合材料は、チタンやクロム鋼を上回る熱伝導率を示し、比較のため作った炭素繊維だけを20重量%混ぜた試料の熱伝導率はその約5分の1にしかならなかったという。
 単層CNTによる高い熱伝導率の発現について研究グループは、炭素繊維の間に網目状の単層CNTネットワークが入り込んで橋渡ししたためと推測している。
 産総研は、今後、他の炭素材料・金属材料との複合化など更なる開発を進め、今回の4倍以上の熱伝導率を最終目標に企業などと共同で実用化を目指すとしている。

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A4サイズに作った新複合材料。自在に曲げることができる(提供:産業技術総合研究所)