筑波大学大学院人間総合科学研究科の研究グループは8月3日、減量を目指す肥満者への動機付け、教材提供、集団型支援の3つの支援活動から成る減量プログラムの検証結果を発表した。
減量支援を6カ月間に3つとも実施した肥満者の減量は、平均7.7kgで、動機付けと教材提供だけの支援でも4.7kgの減量が認められたという。財政事情が厳しく、減量の支援に自治体が人的コストをかけられない場合などには動機付けと教材提供だけでも効果があり、有効な手段になりうるとしている。
調査は、茨城県内のJA関連組織の支援を受けて水戸協同病院で実施した。BMI(体重を身長の二乗で割った体格指数)が25以上40未満で、かつ腹部肥満、高血圧、高血糖、脂質異常のメタボリックシンドローム4因子のうちの1つ以上を抱える男女を募集し、調査条件に合致した188人を対象者として選定。調査スタート当初の動機付け講義だけで減量してもらう対照群グループ、動機付け支援に加えて教材(テキスト、記録用ノート、歩数計)を提供する弱介入群グループ、動機付け支援と教材提供に加えて継続的な集団型支援(教材をもとに6ヶ月間に8回講義)を行う強介入群グループの3群に分けて各支援の効果を比較分析した。
その結果、6カ月間の体重減少量は、対照群で2.9kg、弱介入群で4.7kg、強介入群で7.7kgで、これらの値から求められる減量支援単独の効果は、教材提供による減量効果1.8kg、集団型支援による減量効果3.0kgであった。
研究グループは、減量支援に人的コストがかけられない状況下では動機付けと教材提供からなる弱介入も有効な手段であり、集団型支援はその効果をさらに高める介入手段であることが明らかになったとしている。
No.2011-31
2011年8月1日~2011年8月7日