(独)産業技術総合研究所は2月14日、次世代材料の1つとして注目されている単層カーボンナノチューブの大量生産設備を開発、日産数百gオーダーの生産能力を実証したと発表した。
カーボンナノチューブは、直径0.4~50nm(ナノメートル、1nmは10億分の1m)、長さ1~数十μm(マイクロメートル、1μmは100万分の1m)の超微細なストロー状の中空グラファイト(黒鉛)材料。重さがアルミの半分で、鋼の20倍もの強度を持つ。その内のグラファイト層が1層だけでできているものを単層カーボンナノチューブといい、太陽電池、薄膜トランジスタをはじめ広い分野への応用が期待されているが、これまでの合成装置の生産能力は1日当たり僅か1g程度に留まっていた。
同研究所は、日本ゼオン(株)の協力を得て、その単層カーボンナノチューブの大量生産設備の開発に成功したもので、1日当たり600gの生産能力を持つ実証プラントをつくば市(茨城)の同研究所内に建設した。
実証プラントは、同研究所が2004年に発表した単層カーボンナノチューブの合成法「スーパーグロース法」を使い実現した。純度99.9%以上の高品質品を短時間で合成でき、同研究所は「他の方法によるサンプルと比べ遥かに高純度で、精製することなく多くのアプリケーションに使える」といっている。
同研究所は、この実証プラントを使って大量の試料を必要とする用途開発を推進する計画で、「生産能力は1日当たり600g以上あり、本格的な工業規模での生産に道を開くことができた」と位置付けている。
No.2011-7
2011年2月14日~2011年2月20日