マイクロ波を加熱源にした高分子合成装置を開発
:産業技術総合研究所/新エネルギー・産業技術総合開発機構/GLARTなど

 (独)産業技術総合研究所は11月4日、(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構、(株)GLART、四国計測工業(株)と共同で、マイクロ波を加熱源にした高分子合成装置を開発、実用化に成功したと発表した。
 マイクロ波は、周波数が300メガヘルツ(1メガヘルツは100万ヘルツ)から30ギガヘルツ(1ギガヘルツは10億ヘルツ)の電磁波(電波)。電子レンジは、マイクロ波を使った代表的加熱装置で、化学の分野でも有機化合物や高分子材料の合成にマイクロ波加熱を使う研究が数多く行われてきたが実用化した例はまだ少ない。
 今回開発したのは、ポリ乳酸やオリゴ乳酸といった乳酸重合物を得るマイクロ波応用の重合物製造装置で、共同開発メンバーのGLART(健康食品メーカー)がオリゴ乳酸の製造ラインに導入し量産を始めている。
 乳酸重合物は、乳酸から作られるが、乳酸の反応性が低いためスズ化合物などを触媒として加え高温で長時間かけて合成している。
 これに対し、同研究所は、マイクロ波を応用することにより触媒なしでも乳酸の重合反応が比較的早く進行することを見つけ、オリゴ乳酸の合成に適用して従来の電気ヒーターで加熱する合成法より消費エネルギーを大幅に削減することに成功した。
 GLARTが製造ラインに設置したマイクロ波応用のオリゴ乳酸合成プラントは、原料の乳酸水溶液に2.45ギガヘルツ、6kWのマイクロ波を照射する方式で、オリゴ乳酸の収量は1バッチ(回)当たり約20kg。
 省エネルギー化による二酸化炭素(CO2)の低減効果も大きく、「従来法に比べCO2発生量を約70%削減できる」と同研究所はいっている。

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