(独)農業・食品産業技術総合研究機構は10月19日、富山県農林水産総合技術センター、一関(いちのせき)市役所(岩手)、(株)フリーデンと共同で、豚の排泄物を有効利用する飼料用米の栽培システムと、その飼料用米の豚への給与法を開発、実用化に成功したと発表した。
日本の飼料自給率は、25%前後の低い水準で推移している。一方、養豚は、大規模経営化が進み、糞尿や悪臭の処理問題が厳しさを増し、中山間地に移転せざるを得なくなるケースが増えている。
今回の成果は、豚の排泄物を堆肥化する過程で発散するアンモニアを硫安(硫酸アンモニウム)の液肥(液体肥料)として回収、それを肥料にして飼料用品種の稲を栽培。得られた米をライスセンターで乾燥調製後、飼料工場で粉砕して配合飼料に混ぜ、輸入トウモロコシの代替にするというもの。
大田原市(栃木)の水田で行った新栽培システムによる飼料用稲「モミロマン」の実証栽培では、普通の栽培法並みの栽培面積10アール(1,000m2)当たり900kgの粗玄米収量を達成。収穫した籾(もみ)でトウモロコシを15%削減できることを確認している。
豚の発育も良好で、オレイン酸の割合が高い硬くしまりのある豚肉が得られるという。
一関市の大東地域では、既にこの栽培システムの本格利用を始めており、2009年の栽培面積は30ha(1haは10,000m2)に増えている。
No.2009-42
2009年10月19日~2009年10月25日