(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)は10月21日、2013年打ち上げを目標に開発を進めている国際X線天文学衛星「ASTRO-H」の状況について「昨年10月のプロジェクト発足以来、海外メンバー、担当メーカーを含めた衛星全体会議7回など、ミッション機器や衛星全体の設計打ち合わせを頻繁に行ない、JAXAとしては設計段階に到達したと判断する」と同日開かれた宇宙開発委員会に報告したと発表した。
「ASTRO-H」は、我が国のX線天文学界が欧米の研究者と協力、全力を挙げて開発してきた次世代のX線天文学用の科学衛星(第26号科学衛星)で、日本のX線天文学衛星としては2005年7月に軌道に乗せた「すざく」に次ぐ6個目となる。
計画では、2013年にJAXAの種子島宇宙センターから「H-IIA」ロケットで打ち上げる。同衛星は、全長14m、重さ2.4tの我が国最大の科学衛星で、傾斜角31度、高度550kmの円軌道を周回しながら、6つの観測装置でX線天文学の謎に挑む。寿命は、3年以上を目指している。
「ASTRO-H」は、高精度のX線望遠鏡やマイクロカロリーメーター(熱量計)などの機器を搭載、広いエネルギー範囲に亘るX線などを観測する。
前回の「すざく」には、マイクロカロリーメーターとほぼ同じ機器を乗せていたが、冷却用液体ヘリウムが打ち上げ後に抜けてしまい、観測できなかった。「ASTRO-H」では、これを教訓に、より信頼性の高い設計に改める。
No.2009-42
2009年10月19日~2009年10月25日