光アイソレーターに好適の新単結晶を開発
:物質・材料研究機構/フジクラ

 (独)物質・材料研究機構は10月22日、(株)フジクラと共同で、高出力レーザー装置の光アイソレーターに好適の新しい単結晶材料を開発したと発表した。
 新単結晶は、「テルビウム・スカンジウム・ルテチウム・アルミニウム・ガーネット単結晶」と呼ばれ、レーザー光源からの光を一方向にだけ通しレーザー光源への反射戻り光を阻止する光アイソレーターに好適で、直径1インチ(2.54cm)のインゴットを引き上げ法で得ることに成功した。
 レーザー装置では、光学部品からの反射戻り光があると光源のレーザーにダメージが生じ、不安定動作やノイズ発生の原因になる。そのレーザー光源への反射戻り光を阻止するのが光アイソレーターで、光源の安定化と破壊防止を担っている。
 これまでアイソレーターには、主に鉄系のガーネット(ザクロ石)薄膜単結晶が使われてきたが、レーザーの高出力化による劣化や、光を透過する波長域が狭いという弱点が問題になってきている。
 このため、レーザー加工機や光通信の高出力・広帯域化に対応できる材料を使った光アイソレーターの実現が求められており、新単結晶はそれに適した性能を持っている。
 同研究所は、直径2インチへの大型化も容易だとしている。
 この研究成果は、2010年3月に開催される応用物理学会春季学術講演会などで発表する予定。

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育成した「テルビウム・スカンジウム・ルテチウム・アルミニウム・ガーネット単結晶」(提供:物質・材料研究機構)