(独)農業生物資源研究所は10月21日、岐阜県畜産研究所、農林水産先端技術産業振興センターと共同で、豚肉の肉質の評価で重要とされる「霜降り」が多い種豚(デュロック種)を開発、「ボーノブラウン」と名付けたと発表した。 消費者が求める良質で美味しい豚肉は、「良い肉色で、ドリップロスが少なく、霜降りの割合」が多い肉といわれている。「ドリップ」とは、冷凍肉を解凍した時に肉の内部から外に浸み出す液汁のことをいう。また、「霜降り」とは、肉の中に脂肪が不規則な網状に沈着している状態をいい、肉質の評価の中で重要とされる指標の一つになっている。 今回の開発では、遺伝学的な手法などを用いて、豚肉の「霜降り」に関連する2か所の染色体領域を特定する研究を行った。染色体は、細胞の核の中にある構造体で、遺伝情報を担うDNA(デオキシリボ核酸)が凝縮した状態になっている。 研究の結果、豚肉の「霜降り」に関連する領域を2か所見つけた。一つは、ブタの7番染色体上に筋肉内脂肪含量を0.7%増加する効果があり、もう一つは14番染色体上に筋肉内脂肪含量を0.4%増加する効果を検出した。また、これら2つの効果はそれぞれ独立に作用することも明らかにした。 この研究成果を利用して、「霜降り」に関連するこれら2か所の領域を、交配によって導入したデュロック種(北米大陸系の品種)の集団(オス5頭、メス10頭)を開発した。この豚の肉は、「霜降り」の割合が一般的な豚肉の約2倍になり、美味しい肉を生産できる。 この豚の名称「ボーノブラウン」は、「美味しい」というイタリア語の「ボーノ」と、毛色が褐色(ブラウン)であることから付けられた。 岐阜県では、良質で安全な岐阜県産豚肉を生産するため、一般的な豚肉生産に「ボーノブラウン」を利用して、「霜降り」度合いの高い豚肉を作る実証試験を実施している。今後、「霜降り」度合いの高い豚肉の生産が増えるものと期待されている。 詳しくはこちら |  |
「霜降り」が多い豚の新品種「ボーノブラウン」の切り身(提供:農業生物資源研究所) |
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