宇宙実験棟「きぼう」使い地球取り巻く大気中のオゾン観測に成功:宇宙航空研究開発機構

 (独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)と情報通信研究機構は10月19日、国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」の船外実験プラットフォームに、両機構が共同開発した観測機「超電導サブミリ波リム放射サウンダ(SMILES:スマイルズ)」を設置し、地球を取り巻く大気中のオゾン観測に初めて成功したと発表した。
  オゾン層破壊や地球温暖化など、人類の活動による地球大気の変化は、深刻な問題。オゾン減少の大きな原因は、オゾン層破壊物質の存在で、その量は1994年がピークで現在は減少傾向にあるが、1980年代の状態に戻るには2060~2075年までかかると予想されている。オゾン、二酸化炭素(CO2)や水蒸気は、地球の熱収支に影響を与え、気候変動にも大きな役割をしている。
 そこで、宇宙からの観測で地球大気中に生じている微量分子の変化をグローバルに知ることが望まれていた。
 SMILESは、絶対温度4K(-269ºC)に冷却した超電導検出器によって、これまでにない高精度の大気観測を実現した。今後も引き続き地上観測データや既存の人工衛星観測データと比較してデータの精度を確認、補正などの初期校正検証作業を半年程度実施したあと、定常観測に移行する予定。
  定常観測では、宇宙ステーションの運用制約が全くない場合、宇宙ステーションの1周回(約90分)当り約100点、1日当り約1600点の観測データを取得。そのデータを処理して、オゾンをはじめとする10種類ほどの大気微量分子の分布を捉え、地球大気に関する諸問題の解明に貢献するものと期待されている。

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