脱穀エネルギーを低減した省エネコンバインを開発
:農業・食品産業技術総合研究機構/三菱農機

 (独)農業・食品産業技術総合研究機構は11月4日、脱穀に要するエネルギーを低減した省エネタイプの「自脱型コンバイン」を三菱農機(株)と共同で開発したと発表した。
 自脱型コンバインは、刈り取り機と自動脱穀機を組み合わせた自走式のコンバインのこと。新コンバインは、脱穀部の弁(送塵弁)の開き度をバネで調節する「送塵弁開度制御機構」と呼ぶ新機構を導入して開発したもので、三菱農機が平成22年に市販する予定。
 水稲や麦の収穫に利用される自脱コンバインは、刈り取った茎の部分がフィードチェーンではさまれて穂や葉の先端がこぎ室という部分に供給され、歯(こぎ歯)で脱穀される。葉の先端からは、こぎ歯の打撃でワラくずが発生するが、脱穀された籾(もみ)の一部とワラくずは送塵弁の働きで後方へ移動しながら籾とワラくずとが分離され、選別部に落下するようになっている。
 送塵弁は、こぎ室で籾とワラくずの混合物が滞留する時間を調整する機能を持つ。従来の機械は、収穫作業時に送塵弁があらかじめ設定した位置に固定されるため、こぎ室に供給される収穫物が増加すると混合物の滞留量が増加し、脱穀動力が大きくなる難点があった。
 このため、全体の所要動力の30~40%を占める脱穀部の動力低減が求められていた。新コンバインは、混合物が過度に滞留し送塵弁にある一定以上の力が作用すると、バネで送塵弁が開き、一時的に混合物を逃して脱穀動力を安定化する送塵弁開度制御機構を使って動力低減を実現した。この機構を使うと脱穀動力を1日平均8%程度低減することができるという。

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