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デジカメによる撮影で橋のたわみ計測が可能に―モアレ縞を使って簡単・安価な計測を実現:産業技術総合研究所

(2016年8月31日発表)

 (国)産業技術総合研究所は8月31日、東日本高速道路株式会社 東北支社、株式会社 ネクスコ・エンジニアリング東北と共同で、デジタルカメラで撮影するだけで簡単、安価に橋のたわみを計測できる技術を開発したと発表した。深い谷や海をまたぐ橋の健全性モニタリングなどが可能になるという。

  橋梁の健全性については通常定期的に目視検査を行い、問題があるとたわみ計測などの詳細検査を行ってチェックしている。これまでのたわみ計測では測定ポイントごとに足場を組んで地面と橋梁をピアノ線で繋ぎ、たわみ計測用変位計をセットするなど多くの手間とコストがかかっていた。

  産総研が今回開発したのは、サンプリングモアレ法という手法を利用した技術。格子模様のターゲットを橋梁に取り付けておき、それをデジタルカメラで撮影する。撮影素子画素の格子とターゲットの格子間隔を近づけるとモアレ縞が生成する。これを利用してターゲット取付け部の変位を算出する仕組み。

  開通前の常磐自動車道の9つの橋を対象に、車両通行時に生じる橋梁のたわみを計測したところ、従来法による測定結果と良く一致したという。

 従来法だと事前準備だけでも数日を要していたが、今回の技術では準備を含めて1日で計測できる。老朽化が問題視される社会インフラの健全性評価が大幅に効率化されるとしている。