バレーボールの表面形状、空力特性に影響―新ボール、ボールの向きによる空力変化小さい:筑波大学
(2019年9月27日発表)
筑波大学は9月27日、バレーボールの表面の形状が近年変化し、様々な凹凸をつけたものが使われるようになってきたことを受けて、バレーボールの表面形状に伴う空力特性を調べた結果、ボールの表面パターンが空力特性を変えるという基礎的メカニズムが明らかになったと発表した。ボールの飛翔特性の理解や、今後のボールの開発、デザインなどに対する今回の研究成果の活用が期待されるという。
バレーボールは従来、長方形パネル3枚のセクションが1面をなし、これが6面(パネル計18枚)から成るボールが公式球として長年使われて来たが、北京オリンピック(2008年)で8枚の新球が登場し、以来これがオリンピックをはじめ国際バレーボール連盟ワールドリーグなどの国際大会で公式球として使われている。
また、ボール表面に六角形突起を配置した新球もアメリカリーグやNCAA大学リーグの公式球になっている。
これらの新ボールは従来のボールとはパネルの形や表面の凹凸などに大きな差があるにもかかわらず、その空力特性に関する研究はほとんど行われてこなかった。
研究グループは今回、欧州チャンピオンズリーグの公式球とUSAバレーボールリーグの公式球、それと、従来の18枚で構成された2つのボールを対象に、飛翔特性や空力特性をスポーツ風洞を用いて計測・調査した。
具体的には、飛んでいるボールに作用する抗力、揚力、横力を計測、ボールの発射方向が空気力に及ぼす影響を検討、また、ヒッティングロボットを用いてボールの飛翔軌道を比較検討した。
その結果、ボール表面に凹凸のない従来ボールでは、ボールの飛翔向きがその空力特性に大きく影響し、飛翔軌道を決定する傾向がみられた。一方、表面に六角形やディンプル形の凹凸形状を導入した新ボールでは、ボールの向きによる空力変化が小さい傾向がみられた。
このことから、ボールの空力特性はボールの表面形状に大きく依存し、ボールの表面形状を変えることでボールの飛翔軌道が改善されることが推測されたという。