関節リウマチ治療に手がかり―発症・悪化の仕組み解明:筑波大学
(2019年7月18日発表)
筑波大学は7月18日、ひざなどの関節がこわばって痛む難病「関節リウマチ」が発症・悪化する仕組みの一部を解明したと発表した。本来は自分の体を守るために働く免疫システムが、自分自身の体を攻撃して病状を悪化させる仕組みを分子レベルで明らかにした。関節リウマチの新しい治療法の開発や、免疫異常による他の難病の解明に役立つと期待している。
筑波大の松本功准教授、住田孝之教授、藤田泉助教らの研究グループが、関節リウマチの患者と同様の症状を起こす実験動物「関節炎モデルマウス」を用いた実験で明らかにした。
研究グループは、モデルマウスでは関節炎の発症初期に、炎症と関係の深い免疫物質「インターロイキン17」を作る濾胞性(ろうほうせい)T細胞と呼ばれる免疫細胞が数多く存在することに注目、その働きを詳しく解析した。その結果、これらの細胞の表面では免疫の働きを活性化させる分子「OX40」がたくさん作られ、マウス自身の体を攻撃する免疫物質「自己抗体」を増やしていた。
さらに、関節炎が進行し始める誘導期には、この自己抗体に起きるシアル化と呼ばれる化学変化が、よくなり始める寛解期(かんかいき)よりもより強く起きていることが分かった。一方、生体内で自己抗体を増やすOX40の働きを抑制すると、関節炎の症状が弱まり濾胞性T細胞が減って自己抗体のシアル化も改善したという。
これらの結果から、免疫の働きを活性化させるOX40を作る濾胞性T細胞が自己抗体のシアル化を制御し、関節炎を発症・悪化させる方向で作用していることが分かった、と研究グループはみている。