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世界の海で熱波が頻発、サンゴや海藻などに甚大なダメージ―太平洋、大西洋、インド洋で顕著、生物の生息限界水温を超え、人間活動の影響も強い:筑波大学

(2019年3月11日発表)

 筑波大学下田臨海実験センターは311日、海洋での熱波の発生が約5割も増加し、海洋生物などに甚大な被害をもたらし、さらに経済や国の政策決定などにも大きな影響を与えているとの研究成果を発表した。同センターのベンジャミン ハーベイ助教らが参加した国際共同研究で明らかになった。このままではサンゴや海藻などの海洋生態系が崩壊し、経済、社会に様々な影響を与えそうだと警鐘を鳴らしている。

 熱波は、気象学的には日中の最高気温が平均最高気温を5度℃以上上回る日が、5日間以上連続する異常な高温状態を指す。熱中症や脱水症状、脳卒中など人には致命的な症状をもたらす。

 海洋熱波は、特定の海域で表面水温が異常に高くなる日が5日間以上続くこととされている。近年、海洋熱波はますます増えており、最近の29年間(1987年〜2016年)の頻度は過去25年間(1925年〜1954年)と比べて54%も増加したことが分かっていた。

 これは主に気候変動の影響が原因とみられ、様々な海洋生物種やそれらが作り出す生態系に甚大なダメージをもたらすと心配されているが、その影響に関する研究はあまり進んでいなかった。

 今回、筑波大下田臨界実験センターが参画した7カ国18組織の国際チームは、統一した手法で海洋の熱波の影響を調べた。その結果、様々な海洋生物や生態系に対してマイナスの影響を与えており、中でもサンゴや海藻、海草類に大きな影響があることを見出した。

 海域ごとの影響を解析したところ、太平洋、大西洋、インド洋の生態系が熱波に対して脆弱であった。その原因はこの海域に、①多様な生物種が生息しており ②生物の生息できる水温の限界を超えている ③人間活動の影響も強いため、とみている。

 熱波の影響は短期間で大きな影響が出ることを考えると、これから海洋生物の生息域の消失や、種の絶滅、漁業などに極めて大きなダメージを与えるとみている。