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新NOx浄化触媒を開発―自動車の燃費の飛躍的向上も:新エネルギー・産業技術総合開発機構/ファインセラミックスセンター/東京大学/産業技術総合研究所ほか

(2018年2月7日発表)

 東京大学、(国)産業技術総合研究所などの研究グループは27日、自動車排ガスに含まれる大気汚染物質「窒素酸化物(NOx)」の浄化能力を飛躍的に高められる自動車用触媒を開発したと発表した。低温での高い活性と高温での耐久性を併せ持ち、従来使えなかった幅広い温度領域での利用が可能という。自動車の最適運転条件がより選択し易くなり、飛躍的な燃費向上が期待できるとしている。

 東大、産総研のほか、(一財)ファインセラミックスセンター、栃木県産業技術センター、三菱ケミカル(株)、アシザワ・ファインテック(株)が研究に参加した。

 開発したのは、銅型ゼオライトと呼ばれる触媒。ゼオライト系触媒は一般にシリコンとアルミニウムの化合物にアルカリ金属などを加えて加熱し合成するが、今回はアルカリ金属としてナトリウムを用いてゼオライトにした後、ナトリウムイオンの一部を銅イオンに交換して合成した。

 これまでゼオライトの合成には数日から数週間かかるのが常識だったが、研究グループは新たに数分から数十分で合成できる超短時間合成技術を開発、最短で6秒という短時間で合成することに成功した。また、合成したゼオライトを触媒として使えるようにするために必要な微細な粉体化技術も新たに開発した。

 これらの技術によって、①200℃以下の低温では触媒活性が低い、②高温水蒸気のあるところでは触媒活性が大きく低下するという、従来の銅型ゼオライト触媒が抱えていた課題が解決できたという。

 研究グループは、「今回の研究成果を技術基盤として応用することで、NOx触媒をはじめとする種々のゼオライト系触媒のさらなる高性能化が期待される」と話している。