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有機薄膜太陽電池の性能向上に向け新材料設計指針を提供―ポリマー半導体材料の低コスト化、大面積化可能に:広島大学/京都大学/筑波大学ほか

(2026年7月13日発表)

 広島大学と京都大学、筑波大学、大阪大学、日本電子(株)の共同研究グループは7月13日、低コスト材料を用いた有機薄膜太陽電池(OPV)において、世界最高水準のエネルギー変換効率を実現したと発表した。OPVの実用化研究の加速が期待されるとしている。

 有機薄膜太陽電池OPVは、有機高分子化合物である有機半導体(ポリマー半導体)を発電層に用いた太陽電池で、発電層はプラスの電荷である正孔を輸送するp型有機半導体(ドナー材料)と、マイナスの電荷の電子を輸送するn型有機半導体(アクセプター材料)の混合から成る。

 広島大学のグループは以前に、PTNT2Tと名付けられた高い電荷移動度を持つポリマー半導体を開発した。ポリマー半導体は、プラスチックでありながら半導体の性質を持つ材料で、有機溶剤に溶けて薄膜を形成するため、印刷できる半導体として次世代薄膜デバイスに用いられる。

 共同研究グループは今回このPTNT2Tの研究を発展させ、このポリマー半導体の高い電荷移動度、つまり電気が流れやすいという特性の起源を明らかにするとともに、世界最高水準のエネルギー変換効率を達成した。

 ポリマー鎖の中心部分(コア)同士が重なり合う「core-to-coreスタッキング」という仕組みを取り入れ、ポリマー鎖が規則正しく並んでいない、結晶性が低いポリマー半導体でも、高い電荷移動度を実現した。

 また、PTNT2Tをドナー材料として発電層に用いたOPVは、発電層を厚膜化しても効率よく電荷を回収できることを実証、コストの低いフラーレン誘導体(PCBM)をアクセプター材料とするOPVでは300nm(ナノメートル、1nmは100万分の1mm)を超える厚膜において世界最高の変換効率である12%を実現した。

 これらの研究結果は、OPVの低コスト化、大面積化につながるもので、高結晶性に依存しない高移動度ポリマー半導体の新しい材料設計指針となるという。次世代型太陽電池として注目が高まっているOPVの研究を加速することが期待されるとしている。

PTNT2Tのモデル化合物の結晶構造:(上)真上から見た構造、(下)真横から見た構造に分子軌道を重ね合わせた。TNT骨格同士が大きく重なり合うcore‐to‐coreスタッキングが形成されている。このスタッキング構造により、分子軌道の重なりが通常の3倍となり、分子間でも効率的に電荷を輸送できる。 (提供:広島大学 尾坂研究室)