世界で進む少子化―教育コスト低減で解決も?:理化学研究所ほか
(2026年7月17日発表)
(国)理化学研究所と東北大学は7月17日、世界各国で起きている少子化には共通する二つの進み方があると発表した。237の国・地域の平均寿命と人口千人当たり出生数の関係を分析した結果、平均寿命の「①伸びに反比例して」、「②伸びとともに指数関数的に急激に」、のいずれかの経路に沿って少子化が進むという。どちらの経路かは子供への教育投資が大きく関係するとして、教育コストの家計負担を下げることが少子化対策に役立つ可能性があるとしている。
理研の板尾 健司 客員研究員(東北大学助教)が注目したのは、平均寿命と人口千人当たりの出生数。近代化に伴って多くの国で出生率が低下し少子化が起きているが、その背景にどんなメカニズムがあるのかを探った。
世界237カ国・地域の人口データを用い、平均寿命と粗出生率(1,000人当たりの出生数)の関係を詳しく分析。両者の間に時代や地域を問わず繰り返し現れる規則的な関係があることを見いだした。
1949年以前のデータでは平均寿命と粗出生率はほぼ反比例を示し、平均寿命の伸びにつれて粗出生率は緩やかに下がっていた。一方、1950年以降は多く国・地域で粗出生率が急激に減少していた。そこで、こうした曲線は人口変化が示す「普遍的な経路」と判断した。
先進国では、20世紀前半までに女性一人当たりの子どもの数(合計特殊出生率)が2程度にまで下がる第一次人口転換が、また第二次大戦後にはさらに低下する第二次人口転換が見られた。一方、発展途上国の多くは第一次を経ずに、初めから第二次人口転換が起きている。
今回の研究では、こうした人口転換が生まれる仕組みを調べるため、子どもの数と教育への投資に関する世帯ごとの意思決定について解析した。その結果、平均寿命が一定の値を超えると、子どもの数を減らして教育に投資する傾向がみられた。
この結果は、予算制約の下で、「①子どもの数を最大化する」、「②教育水準を上げることで子どもの生産性を高める」、というメカニズムによって生まれている可能性を示唆しているという。そのため、板尾 研究員は今後、「実際に教育コストを下げる政策が粗出生率を回復させるのかを調べる必要がある」と話している。



