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太陽光の入射を制御できる調光膜の簡単な製法を開発―調光ガラスの製造コスト大幅に低減へ:産業技術総合研究所

(2017年12月5日発表)

 (国)産業技術総合研究所は125日、常温・大気中で簡単に作製できるガスクロミック方式の酸化タングステン系調光膜を開発したと発表した。ビルや自動車などに実用化されている調光ガラスの大幅なコスト低減や新たな調光プラスチックの作製などが期待できるという。

 調光膜は、電気や光、熱などの作用によって光の透過量や反射量を制御できる膜。酸化タングステンはその代表的な材料で、電気化学的な酸化還元反応で光学状態を変化させるエレクトロクロミック方式の調光膜が実用化され、建物、航空機、自動車の窓ガラスへの利用が進んでいる。太陽光の入射を制御し空調負荷を減らせるなどの利点がある。

 ただ、エレクトロクロミック方式の調光膜で作られる調光ガラスは膜の構造が複雑でコスト高であり、電極材の透明導電膜が近赤外線の透過率を下げるなどの課題も抱えていて、それらの改善が求められていた。

 産総研は水素ガスで調光する、構造が簡単なガスクロミック方式の研究開発に取り組み、今回、大気中の水分を電気分解して少量の水素ガスを発生させ調光する安全性の高い調光膜を、低コストで作製する技術を開発した。 

 新技術の要は化学溶液法で膜を作製するコーティング液の開発で、この液を使うと、基板に塗布した後、常温・大気中で乾燥させるだけで、水素ガス応答性の良い酸化タングステン系調光膜が得られる。

 高温焼成が不要なのでガラス基板だけではなく、耐熱性の低いプラスチック系シート上への成膜も可能。また、一種類の膜だけでデバイス化できるという特長もある。

 今後、これらの特長をテコに、新技術の普及や応用の拡大を目指したいとしている。