寒冷地に適応した巨大恐竜―卵を暖めた発酵熱:筑波大学ほか
(2026年9月8日発表)
巨大草食恐竜「ティタノサウルス」は南極に近い南米アルゼンチン南部の寒冷環境にも適応していたと、筑波大学と国立科学博物館は9月8日発表した。約6,900万~6,600万年前の白亜紀末期の地層から採取した卵の化石を分析、卵を暖めるのに植物などの有機物が微生物によって分解される際に出す熱を利用していたことを明らかにした。南半球の高緯度地域でも彼らが巧みに適応して営巣していたことがわかったという。
ティタノサウルスは首の長い草食恐竜で、大きいものでは全長12~13mにも達する史上最大の陸上脊椎動物。南米やヨーロッパ、インドなどで卵の化石が見つかっている。研究チームは今回、このうちアルゼンチン南部に分布する約6,900万~6,600万年前の白亜紀末期の地層「チョリロ層」から恐竜の卵の殻の化石を250枚以上採集、詳しく分析した。
その結果、これらの化石は殻の微細構造からすべてティタノサウルス類の卵と推測した。さらに、これらの卵の殻は極めて多孔質だったことから営巣時には土の中など湿度の高い環境中に埋められていた、と研究グループは判断した。
一方、卵を採取したチョリロ層は南極からもそう遠くない比較的高緯度に位置しているため、卵を温めるために気温の低い地域でも利用可能な熱源が必要になる。熱源としては、一般に①地熱、②太陽の放射熱、③植物の発酵熱の3種類しかないと考えられるという。
研究チームは、これらのうち巣材に含まれる植物などの有機物が微生物によって分解される際に出す熱で卵を温めていた可能性が最も高いと判断した。地質学的な観点から、また南極からそう遠くないアルゼンチン南部という地理的条件から見て、植物の発酵熱とみるのが最も妥当だとみているためだ。
研究グループは「高緯度地域などの厳しい環境での恐竜類の繁殖を研究することは、彼らの放散や進化を考察するうえで極めて重要」と指摘。今後は北半球と南半球の高緯度地域で恐竜類の営巣をさらに調査し、彼らが隕石衝突による寒冷化に耐えられずに絶滅していったのはなぜか、などについて探っていきたいとしている。



