福島県の化石から、小型の植物食恐竜イグアノドン類の存在が明らかに―後期白亜紀の東アジア沿岸域に大小多様なサイズの恐竜が生息:筑波大学ほか
(2026年7月16日発表)
福島県いわき市の化石保存施設「アンモナイトセンター」に保存されていた化石が、後期白亜紀の恐竜イグアノドン類の胸骨と判明したと、筑波大学と福島県立博物館が7月16日に発表した。筑波大学生命環境系の田中 康平 准教授と近藤 征海・同大博士課程学生らによる成果で、この地域に大型から小型まで様々なサイズのイグアノドン類が生息していたことを示す成果となった。
イグアノドン類は後期ジュラ期から後期白亜紀にかけて世界的に繁栄した植物食恐竜で、近年、日本各地で発掘が相次いでいる。全長2m程度の小型種から10mを超す大型種もある。
北海道むかわ町(体サイズは大型)、福島県広野町(中型)、兵庫県洲本市(大型)、香川県さぬき市(大型)、長崎県長崎市(中型から大型)、鹿児島県薩摩川内市(大型)などがあり、当時の大陸沿岸域に生息していたと見られる。
だがこれらの化石の多くは、歯などの断片的な化石がほとんどだった。研究グループは、福島県いわき市アンモナイトセンターの施設内に露出した状態で保存されている双葉層群の地層の「骨化石」1点について2022年から詳細な分析を始めた。
1999年に発見された当初は「ハドロサウルス恐竜の胸骨」と見られたものの、詳細な研究がなされないまま保管されていた。
今回初めてハドロサウルス類を含む進化型のイグアノドン類の「右胸骨」であると判明した。近縁種との比較から全長は3m程度の小型種と推定される。
標本は「手斧型」と呼ばれ、棒状の「柄」の部分と平らな「刃」の部分から構成される。この形状はイグアノドン類または二足歩行性の植物食恐竜のパキケファロサウルス類の特徴がある。
この化石だけで成長段階を推定するのは無理だが、全身骨格が発見されているモンゴル産の近縁種を参考にして、研究グループは全長3m程度の小型恐竜と推定した。
日本の後期白亜紀の地層からは、中型個体から全長3m以上の大型個体に由来するイグアノドン類が多数報告されている。今回の発見は、東アジアの沿岸域で小型個体を含む多様なサイズのイグアノドン類が生息していたことを示す結果となった。
双葉層群が堆積した時代(約9000万年から8800万年前)は世界的に地層や化石が限られていた。研究グループは、恐竜類と共にこの地層から魚類などの脊椎動物化石についても本格的な調査を進め、当時の生物相や生態系のより詳細な復元を目指すことにしている。





