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森林の「根」の分布を全国規模で解明―樹木の成長量の予測精度がアップ:森林総合研究所

(2026年4月7日発表)

 (国)森林総合研究所は4月7日、日本の森林の「根」の分布を初めて全国規模で明らかにしたと発表した。829地点の森林を対象にして細い根から2cm以上の太い根までさまざまなサイズの根の分布を解明したもので、樹木の成長量予測の精度をアップする知見を得たという。

 日本の森林面積は、林野庁の発表によると2,502万ha(1haは1万㎡)。国土総面積の67%を占める。同庁は、ほぼ5年ごとに森林資源の調査を行っており、森林総面積自体はほぼ変わらず横這いの状況が続いているが、増えているのが人の手で苗木を植えたり種を播いて樹木にした人工林の占める割合。総森林面積の約40%に当たる同1千万haを占めるまでになってきている。

 また、近年は、針葉樹と広葉樹とが入り混じる「針広混交林」と呼ばれる人工林の造成も推進され人工林の質的変化が浮上してきている。

 こうしたことから森林の根の実態を全国規模で把握することがこれまでに増して必要となってきている。

 しかし、森林を形成する樹木に水分や栄養分を運んでいる「根」については、日本全国を対象にした観測データがこれまで無かった。

 今回の成果は、それに応える初めてのもので、林野庁が委託事業として2006~2010年にかけ全国829の地点で行った森林土壌調査の記録を森林総研が解析し、根の分布や密度を示す「根交差密度」を全国規模で調べた。

 その結果、①土から水や栄養を吸収する細い根(直径2mm以下)と、木を支え同時に水や養分を輸送する直径2mmから20mmまでの中サイズの根が8割以上の地点で観察され、②細い根は地表から平均で65cm、中サイズは同49cmの深さの地中にまで分布し、③直径20mm以上の太い根の出現は、2割程度に留まることが分かった。

 そして、根が出る頻度は、平均気温が高い地域で高く、根の密度は地表からの深さによって変わり、人工林の方が天然林より気温の影響を受けにくい傾向を確認した。

 これまで日本全国を対象とした根の観測データが無かったため森林樹木の成長量予測は、仮定に基づいて設定されてきた。研究グループは「今回の知見を取り入れることで、乾燥する年の森林成長量の予測精度向上が期待される」と話している。