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肝臓がんの発症―化学物質とウイルスが影響:理化学研究所

(2024年2月15日発表)

 (国)理化学研究所は2月15日、中国の北京大学などと共同でカビや生薬に含まれる特定の物質が肝臓がんの発症に影響を与えていると発表した。中国で最も多いB型肝炎ウイルス感染で発症した肝臓がん患者の全遺伝子を解析、カビに含まれるアフラトキシンや生薬中の化学物質が中国特有の発がん要因になっていることを突き止めた。肝臓がんの新しい治療法や診断法、予防法の開発に役立つという。

 肝臓がんは日本を含むアジアで発症頻度が高く、特に中国は世界の発症者・死亡者の約45%を占める。そこで理研は、北京大学や上海国家肝がんセンター、デユーク・シンガポール国立大学と共同でその原因究明に取り組んだ。

 研究では、まずB型肝炎ウイルスの感染が主原因とされる中国の肝臓がん患者494人の全遺伝情報を解析、どのような変異が起きているかを調べた。その結果、94.5%の患者(男性86%、女性14%、平均年齢56歳)がB型肝炎ウイルスに感染しており、一人当たり平均1万3,000個所に上る遺伝情報の変異があることが分かった。

 また、このデータを日本人(平均年齢67歳)と比較したところ、中国における肝臓がん発症の平均年齢は中国では56歳と若かった。さらに、B型肝炎ウイルスに感染していた人は日本では30%だったのに対し、中国では94.5%に上った。

カビ毒のアフラトキシンや生薬に含まれるアリストロキア酸による遺伝情報の変異は、日本では肝臓がん患者からがほとんど検出されなかった。これに対し、中国ではこれらの原因によって発がんしたとみられる形跡が、それぞれ10%、18%に上ることも分かった。

 これらの結果から、中国ではB型肝炎ウイルスの感染に加えて、カビ毒のアフラトキシンや生薬に含まれるアリストロキア酸といった化学物質にさらされることで初期段階に遺伝情報に特異的な変異が起き、最終的に肝臓がんに至る、と研究グループはみている。